アルコール依存症 症状お酒を飲むと気分転換になりますよね。しかしお酒を飲む量がだんだん増えていったり、お酒が飲めないと不安になったり、我慢できなくなったりしていませんか。そこで今回はアルコール依存症の症状についてご紹介したいと思います。






あなたは大丈夫!?アルコール依存症の〇つの症状とは?

1)アルコール依存症とは?

(1)アルコールの持つ依存性によって起こる症状

アルコールは麻薬・覚せい剤・シンナー・抗不安薬・睡眠薬などと同じ「依存性薬物の1種」です。「依存性」とは、摂取することで様々なトラブルが出てくるにもかかわらずその薬物を止められなくなる性質の事を指します。

アルコール依存症はアルコールの持つ依存性によって発症し、「飲む量・タイミング・状況」などを自身でコントロールできなくなり「やめよう!」と思っても脳に異常が起きているため少しでもアルコールを飲んでしまう飲むのを止められなくなるのが特徴です。

(2)アルコールへの耐性

習慣的に飲酒をすることで酔いを感じるまでのアルコール量が増えてきます。初めの頃は日本酒なら1合ほどでほろ酔い気分になったのが3合、4合飲んでも酔った感覚を得られなくなります。これがアルコールに対する「耐性」です。男性と女性では女性の方が耐性が低いため半分程度で発症します。

断酒を行うと身体がアルコールに弱くなるため少量で酔いを感じるようになりますが、しばらく飲み続けるとまたアルコールに耐性ができて酔いが感じにくくなります。しかし「アルコール依存症が進行すると耐性が落ち少量でもひどく酔ってしまう」ようになります。

(3)飲酒行動の異常性

少量でもアルコールを口にしてしまうと適量で止められなくなり、結果的に「飲み過ぎてトラブルを起こす」などアルコールを自分で止められなくなる状態を「コントロール障害」といいます。この点が正常な大量飲酒者とアルコール依存症者を区別するポイントになります。

1度コントロール障害を起こすと2度と元には戻らない」といわれていて、もし自分でアルコールでのトラブルを絶対に避けたい!と思うのであれば生涯アルコールを摂取しないように「完全な断酒」をする以外に方法はありません。

コントロール障害かどうかの判断は、病院の検査などでは分かりません。そのため「飲酒時間・場所・量などがその人の置かれている社会的基準から外れていないか」などのアルコールの飲み方で判断されます。例えば、サラリーマンが平日の昼間から飲む・職場で飲む、などしていれば間違いなくコントロール障害です。

*日本における多量飲酒とは*

1日の平均飲酒が「6ドリンク以上」が多量飲酒に当たり、「アルコール依存症」の危険性が高まります。「6ドリンク」とは、ビールなら500ml×3本、日本酒540ml、焼酎(25度)300ml、ワインならグラス6杯、に相当します。

(4)進行すると

コントロール障害の人は「毎日の飲酒行動が同じになる」特徴があり、「同じ時間に同じ量のアルコールを毎日欠かさず」に飲みます。進行すると「目が覚めたら飲む~酔って寝る~目が覚めたら飲む」を繰り返すようになりアルコール以外の事は考えられなくなります。この状態を「連続飲酒発作」と言います。そして数日~十数日経つと急に身体がアルコールを受け付けなくなるため一時的に飲酒が止まり、しばらく断酒をして過ごします。

アルコール依存症が進行すると「連続飲酒発作」と「断酒」を繰り返すようになります。そうしていくうちに「今日はこれだけ…」と思いながらも飲酒を止められなかったり、断酒に失敗したりして自分だけではどうにもならない状態になります。この時期は周りから「命が危ない」・「離婚する」・「解雇する」などと言われてもアルコールを止めることができません。

そのうち「震え」・「発汗」・「不眠」・「焦燥感」などの「離脱症状」が現れ、それを消すためにさらに飲酒をするようになります。そしてアルコールがなくな不不安からいつでもお酒が飲めるように前もって準備したり、夜中でも買える場所を調べたりするようになり、周りに見つからないようアルコールを隠すようになります。

アルコール依存症の人は飲酒が原因で「身体」・「仕事」・「家庭」などに大きな影響を及ぼします。しかしアルコール依存症の特徴的な傾向として「何事も本人に都合のよいようにとらえる」・「飲酒を指摘されると反発心を抱く」などがあり、結果的に自分で飲酒による問題に気づいていても周りにSOSを出さなくなります。

2)離脱症状群とは?

(1) 早期離脱症状群

飲酒を止めてから数時間後に現れる症状でそのまま断酒をすれば数日で治まります。またさらに飲酒することで症状が軽くなりますが、この場合後から飲んだアルコールによって新たな離脱症状群が起こり悪循環を起こします。

*症状*

手や全身の震え・発汗(特に寝汗)・不眠・吐き気・嘔吐・血圧上昇・不整脈・焦燥感・集中力の低下・幻聴・てんかんの様なけいれん発作(*1)、など。

(*1)・・・「アルコールてんかん」と呼ばれ90%以上が断酒後2日以内に起こります。発作は1~3回で大発作で起こりますが、抗けいれん剤の服用は必要ありません。

(2) 後期離脱症状群

「振戦せん妄」とも呼ばれ、断酒後2~3日目で生じ3日程度でよくなることが多い症状ですが、まれに3カ月近く続く場合があります。これらの症状から逃れるためにさらなる飲酒を繰り返します。

*症状*

幻視(*1)・見当識障害(*2)、興奮・発熱・発汗・振戦などの自律神経症状など

(*1)・・・実際に見えるはずのないものが見えてそれを信じ込む状態。小動物や虫が群れで見えることが多く、幻聴を伴うこともあります。

(*2)・・・時間・場所・人物の見当が付かなくなり、不安や恐怖心が強くなるため興奮して騒ぐなどの行動異常が起こります。

飲酒をすると必ずトラブルを起こしたり、アルコールが切れると何らかの離脱症状が現れる人はアルコールに対して「コントロール障害」を起こしています。上記の症状がすべて揃っていなくてもアルコール疑いがあります。

3)アルコール依存症かもしれない?と思ったら

(1)アルコール依存症かどうかチェックしてみる

世界保健機構ではアルコール依存症の診断ガイドを定めています。またそれ以外にも様々な医療機関で簡単なチェックシートによってアルコール依存症かどうかをチェックすることができるので思い当たる人はチェックしてみましょう。男性と女性では少し内容が異なります。

*主なチェック項目*(本来、マークシート式でそこから近いものを選ぶようになっています。)

 あなたは週にどのくらいのペースで飲酒しますか?

 通常どのくらいの量を飲みますか?

 1度に6ドリンク以上飲むことはどのくらいありますか?

 過去1年間に飲みだしてなかなか止められなかったことはどのくらいありましたか?

 過去1年間に通常ならできることが飲酒によってできなかったことがどのくらいありましたか?

 過去1年間に深酒をした翌朝、迎い酒をしたことがどのくらいありましたか?

 過去1年間に飲酒後罪悪感や自責の念にかられたことがどのくらいありましたか?

 過去1年間に飲酒によって前夜の出来事を思い出せなかったことがどのくらいありましたか?

 飲酒のためにあなた自身や他の誰かがけがをしたことはありますか

 家族や友人などがあなたの飲酒による健康障害を心配したり飲酒を止めるようにいいますか?

これらのチェックシートによって依存症になっているかどうかの自己判断ができますが、あくまでも簡単な判断基準であるため項目が多い場合は医療機関を受診し専門家に治療を受けましょう。

(2)認める勇気

もしも思い当る部分は多いのに、以下の様に考えて自分がアルコール依存症であることを認めていないのであれば潔く認めて早急に治療を行う勇気を持ちましょう。今ならまだ間に合うかもしれません。

 今までは飲み過ぎていたからよくない。2合以上は飲まないようにする。

 週末だけ飲むことにする。

 アルコールが高いものはよくないからビールにしよう。

 強い意志があれば飲んでも問題は起こさない。

 3年やめたのだから飲めるようになったかもしれない。

 少しなら酒を切って帰れば、ばれないだろう。

(3)早めの治療で取り戻せる日常生活

長期間の大量飲酒によって引き起こされる身体的障害は「アルコールの臓器毒性」によるものと「栄養障害」によるものが多くなります。アルコール依存症は治療をせず放置することで、深刻な病気や社会的な問題を伴います。そして長い時間をかけて少しずつ進行し「死」に至る恐ろしい病気です。しかし断酒を続けていれば健康な人生を取り戻すことは可能です。

1度アルコール依存症になってしまったら、「普通の飲酒はできなくなる」、「健康に生活したいなら一生酒を断つ」必要があることを忘れないでおきましょう。

アルコール依存症は本人の意思だけではどうしようもない病気なので、周りがしっかりと見守りながら長い目で治療していくことが大切です。また「アルコール依存症の親を持つ人は、待たない人に比べて約4倍発症率が高い」といわれています。遺伝的要因に加え、家族関係の希薄・家庭環境の悪さが原因になります。

アルコール依存症になる前の段階で周りが気づいてあげれることが大事なポイントかもしれません。もしもなってしまったら勇気を持って認め、早期の治療を受けましょう。

*まとめ*

 アルコール依存症はアルコールによる依存性が引き起こす中毒症状

 飲酒を続けると同じ量では酔わなくなる

 多量飲酒により酒量をコントロールできない「コントロール障害」を起こす

 飲酒を止めると幻覚や震え、発汗などの「離脱症状群」が起こる

 飲酒すると必ずトラブルを起こす・飲酒を止められない

 飲酒によって身体・家庭・仕事、などに影響が出る

 受診しなくてもチェックシートで自己判断ができる

 早期治療がポイント

 1度なってしまったら健康を取り戻すためには一生飲酒はできない






今回のまとめ

1)アルコール依存症とは?

2)離脱症状群とは?

3)アルコール依存症かもしれない?と思ったら