アルコール依存症 脳毎日の晩酌に、会社での飲み会続き。そんな日々が続いていて、二日酔い。実はお酒は人体だけでなく、脳にも影響を及ぼすことをご存知でしょうか?今回はアルコール依存症と脳への影響に関して紹介していきます。






あなたは大丈夫?アルコール依存症による脳への6つの影響

1)そもそもアルコール依存症とは

厚生労働省が発表している「節度ある適切な飲酒」によると、一日に摂取する純アルコールは20g程度が適量とされています。それはビールであれば中瓶1本500ml、日本酒は1合、ウィスキーであればダブル60mlなどが目安となっております。これ以上の量を頻繁に飲む人がアルコール依存症の疑いがあると言えます。そこで、アルコール依存症にはどんな症状があるのか説明します。

2)アルコール依存症による4つの症状

(1)社会生活への影響

まずアルコール依存症にかかると自分で飲酒をコントロールすることが困難になります。具体的にはお酒の量をはじめ、飲酒をする場所さえ見境なくなってしまいます。深刻な症状としては、職場でこっそり飲酒をしたりする事例もありますが、実は職場に一人はいるとまで言われているほど身近な病気なのです。これは脳が異常をきたすことで、飲酒を嫌でもやめられなくなってしまうのです。

(2)継続的な飲酒によるアルコールの耐性

継続的な飲酒はアルコールの耐性を強め、飲む量も徐々に増加していきます。程よく酔っ払うことができなくなり、多量のアルコールを摂取しなくては気がすまなくなります。アルコール依存症の入り口はこの悪循環によるものなのです。

(3)身近な人達への迷惑

アルコール依存症にかかると様々な迷惑をかけることになります。それは酒代による経済的な圧迫や職場の欠勤やトラブルのリクスの増加などが挙げられます。特に家庭を持っている方であれば、奥さんや子供にも多大な迷惑をかけることになります。また、あまりにも飲酒が当たり前の感覚に陥ってしまうことにより、飲酒運転にも抵抗を感じなくなることもある様です。

(4)禁酒の決意が更に飲酒を助長させる

時には飲酒を控えようと思うことがあると思います。しかしアルコール依存症が深刻化するとこの決意は離脱症状として体に現れます。血中アルコール濃度が下がると手の震えや発汗、集中力の低下などの症状が現れます。これらの症状から逃れるために再び飲酒を繰り返してしまうことから、ドラッグや麻薬よりも恐ろしい病気であると言えます。なぜならアルコールは24時間どこでも手に入るからです。

3)WHOの診断基準によるアルコール依存症の自己診断

以下の6項目のうち3つ当てはまる人はアルコール依存症の確定診断が下されるそうです。

(1)アルコールを摂取したいという強い欲求

仕事が終わりそうになったら飲みに行くことばかり考えたり、家にお酒を常備する傾向がある人が該当します。仕事後の帰宅途中に我慢しきれず歩きながら飲んでしまう人は要注意です。

(2)飲む量をコントロールできない

今日はお酒を控えようと思っても飲んでしまう時や、一杯だけにするはずがあるだけ飲んでしまった時などが該当しますエスカレートすると体に異常が見られるまで飲み続けてしまいます。この様に自分の理性を保つことが出来ない人が該当します。

(3)飲酒を減らしたりやめた時の症状

ある程度アルコール依存が進む脳が麻痺しきってしまっています。アルコールを控えることで逆に脳神経が興奮してしまい、イライラしたり発汗や手の震えなどの症状が現れます。この様な外的な症状が出ている人が該当します。

(4)アルコールの耐性が強くなる

先にも述べましたが、アルコールを継続して飲酒し続けると体に耐性が出来てきます。酔った感覚を得る為に体内にアルコールを多く摂取する必要があります。この耐性により飲酒量が徐々に増えている人が該当します。

(5)何よりも飲酒が最優先

趣味よりも家族よりもお酒を最優先にしてしまう症状です。平常を装う理性を併せ持っている人も多く、仕事はこなすがそれは全てお酒の為になってしまっている人が該当します。

(6)悪影響が出ているにもかかわらずやめられない

身体機能に影響が出ているにもかかわらず飲酒をやめられない、家庭内や職場でのトラブルがある、経済的なコントロールが破綻している人が該当します。もはやここまで来てしまった人は末期と言えるでしょう。

さて、あなたはいくつ当てはまりましたか?ここからは脳への影響も交えてお話をしていきます。

4)アルコール依存症による脳への影響

(1)脳萎縮

脳自体は加齢と共に30歳を超えたあたりから自然と萎縮するそうです。しかし大量の飲酒はそのスピードを早めます。脳が萎縮することで思考力が低下します。また、記憶を司る海馬の働きが悪くなると物忘れも進行します。

(2)アルコール性痴呆

脳の萎縮が進む事で、倦怠感や時間間隔がわからなくなる症状です。日常的に大量のアルコールを摂取していた恒例男性を調査した研究によると、あまり摂取していない人に比べて認知症のリスクが4.6倍に登ったという報告もあります。

(3)ウェルニッケ脳症

ドイツの神経科学者のカール・ウィルニッケから名付けられた病名です。これはビタミンB1の欠乏により引き起こる脳の病気で、正常に歩けなくなったり、正常に目が動かなくなるなどの運動障害を引き起こします。アルコールを大量に摂取すると、ビタミンB1がアルコールを分解する為に大量に消費され、ウェルニッケ脳症が引き起こりやすくなるのです。

(4)コルサコフ症候群

ロシアの精神科医のセルゲイ・コルサコフにちなんで命名された病名です。ウェルニッケ脳症と同様に、アルコール依存症による栄養失調による記憶障害が中心となる症候群です。日付や時間感覚がわからなくなったり、本人の意思とは無関係に作り話をしてしまう等の症状があります。

(5)アルコール性神経障害

アルコールの多量摂取による脳神経障害の総称です。こちらもやはりビタミンB群が不足して起こる症状のようです。両手足の末端がしびれたり、鈍痛や激痛を感じることもあります。

(6)不眠症

アルコール依存症の睡眠の質は極めて悪くなります。人間は寝ている間、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すことで脳と体を休めますが、深い睡眠をするノンレム睡眠がなくなり熟睡できなくなります。

 

基本的に適量を守っている方は、上記の症状の心配はほとんどありません。また、自己診断も体質により必ずしもアルコール依存症であるとは言い切れないこともあります。しかし、「脳は一度でもお酒の味を覚えてしまったら一生忘れない」ことだけは断言できます。実はアルコール依存症を完治させる方法は1つしかありません。

それは「一生禁酒する」ことなのです。実際のところ一般生活を送っている以上はなかなか難しいと思います。最近お酒の量が増えているかも?と思った方はぜひ手遅れになってしまう前に少しずつ量を減らすことをおすすめします。お酒と常にいい距離感を保ち続けることが、良い人生を楽しめる秘訣なのだと思います。






今回のまとめ

1)そもそもアルコール依存症とは

2)アルコール依存症による4つの症状

3)WHOの診断基準によるアルコール依存症の自己診断

4)アルコール依存症による脳への影響