急性アルコール中毒 死亡今年も残りわずかとなりました。イベントも多くなり、そろそろお酒を飲む機会も増えてきそうですね。そこで注意したいのが急性アルコール中毒です。重い後遺症や、最悪の場合には死亡する危険もある深刻な病気なのです。今回は急性アルコール中毒と死亡についてご紹介します。






あなたは大丈夫?急性アルコール中毒で死亡しないための7つの方法

1)急性アルコール中毒の5つの状態と血液中のアルコール濃度

急性アルコール中毒とは、お酒を飲むことで体内に入ったアルコールにより引き起こされる中毒のことを言います。アルコールによって脳が麻痺することで、様々な神経症状を現します。血液中のアルコール濃度によって状態が区別されており、一般には酩酊状態以上を指します。発症は、エタノールの摂取量の他、個人の体質や体調によって差があります。

爽快期 血中アルコール濃度0.01〜0.05%

気分が良くなり、気持ちが明るくなります。陽気になり、幸福感が増し、おしゃべりが増える人も。気持ちよく酔っている状態です。 

(2)ほろ酔い期 血中アルコール濃度0.05〜0.08%

脳が麻痺し始めます。酔いが進み、脈が早くなり、体温も上がります。判断力が鈍り、理性を若干失い、幸福感が大きくなります。声が大きくなり、身振り手振りも大きくなります。普段あまりしゃべらない人もおしゃべりを始めます。

(3)酩酊期 血中アルコール濃度0.1〜0.3%

気分が大きくなり、大声で話し始める、感情のコントロールができず、怒りっぽくなったり、涙もろくなったりするなど、アルコールによる脳の麻痺状態が進みます。身体機能にも影響が出、ふらついたり、まっすぐ立てないなど、明らかに普段とは違う状態になります。また、吐き気を覚え、嘔吐する人もいます。 

(4)泥酔期 血中アルコール濃度0.3%以上

脳の麻痺が進み、意識が混濁します。体温、血圧が低下し、寒気を覚える人もいます。しっかりと立つことができず、歩くことも困難となります。転んでも受け身などの自衛手段を取れず、怪我をする危険も大きくなります。また、記憶をつかさどる脳の海馬の部分も麻痺し始め、周りで起こっていること、自分の状態など、記憶に残っていない状態となります。

アルコールの中毒自体は命を落とすほどではなくても、転倒し頭部に衝撃を受けることで昏睡状態に陥る、嘔吐した吐瀉物で窒息する、交通事故に巻き込まれる、など、二次的要因で命の危険にさらされることもある危険な状態です。

(5)昏睡期 血中アルコール濃度0.4%以上

麻痺が脳の呼吸や心臓のはたらきをつかさどる場所まで進み、意識を完全に失い、心肺停止となる場合もあります。体に叩くなどの刺激を与えても反応がなく、更に生命維持をつかさどる中枢神経にまで麻痺が広がると、直接命の危険にさらされます。血中のアルコール濃度が0.4%を越えた場合、1〜2時間で約半数が死亡すると言われています。

2)急性アルコール中毒の5つの対処法

症状が出始めたらすぐに対処することが大切です。放置しておくと症状がどんどん進み、知らない間に意識を失ったり呼吸停止になったりする場合がありますから、中毒を起こした人を決して一人にせず、常に誰かがそばについて、声かけをするなどして、状況を把握してください。 

(1)意識の確認をする

体を揺さぶったりせず、耳元で呼びかけたり、体をそっと叩くなどの刺激を与えて、意識があるかどうか確認します。 

(2)水を飲ませる

意識があれば、衣類やベルトなどをゆるめて体を楽な状態にし、少しずつ水を飲ませます。泥酔状態であれば体温が下がりすぎることを防ぐためにあまり冷たい水を飲ませることはせず、常温以上のぬるま湯を飲ませます。

(3)横向きに寝かせる

意識があってもなくても、横向きに寝かせます。これは、嘔吐した場合に吐瀉物で窒息をすること、意識がなくなり舌根が喉へ落ち込むことによって窒息すること、を防ぐためです。

意識があり、吐き気が強い場合は、横にしたまま吐かせます。口内に残った吐瀉物は窒息しないように掻き出します。吐き気が弱い場合は、無理に吐かせることはせず、横にしたまま声をかけ続け、ゆっくりと少しずつ水を飲ませます。 

(4)救急車を呼ぶ

大きないびきをかいたり、口から泡を吹いたりしている場合は、すみやかに救急車を呼んでください。一刻を争うような状態ですから、とにかくすみやかに救急車を呼び、到着するまでは横向きに寝かせ、声かけを続けて意識の回復につとめてください。脳の麻痺が進んでいる状態ですから、強く叩く、揺さぶるなど、頭部への刺激を与えないように気をつけます。 

(5)人工呼吸、心臓マッサージをする

意識がなく、心肺停止に陥っている場合は、救急車を呼び、到着を待つ間に人工呼吸や心臓マッサージをします。この時は、仰向けに寝かせて処置をしてください。 

3)急性アルコール中毒の治療法

急性アルコール中毒には治療法も解毒剤もありません。また、アルコールは体内での吸収が早く、胃洗浄をしても効果がありません。ですから、中毒を起こさないように予防することがとても大切です。また、急性アルコール中毒は、あくまでも血液中のアルコール濃度が高くなり中毒を起こすものですから、お酒の強さ弱さには関係ありません。

どんなにお酒に強い人でも、急激に大量のお酒を飲み、血液中のアルコール濃度が高くなれば急性アルコール中毒を起こしてしまうのです。急性アルコール中毒は「誰にでも起きるもの」として、普段から起こさないように気をつけることが大切です。 

4)急性アルコール中毒を予防するための7つの方法

(1)お酒が飲めない体質だと周りに伝えておく

楽しい飲み会の最中に、お酒が飲めない、と言うのは場の雰囲気を壊す、と心配になってしまう人も少なくありません。飲めない人は、普段から周囲の人にお酒が飲めない体質であることを伝えておきましょう。また、飲めない体質の人にお酒をすすめることは絶対にやめましょう。 

(2)自分の適量を知っておく

お酒を分解する力は人によって違います。自分の適量はどの程度かを把握しておきましょう。また、体調によっても分解速度は変わってきます。普段は大丈夫な量でも、少し異変を感じたら、すぐにお水を飲むなどして、調整しましょう。 

(3)ゆっくり飲み始める

お酒を飲み始めてから、血液中のアルコール濃度が上がるまでには大体30分から1時間のタイムラグがあります。この間に自覚症状のないまま大量のアルコールを摂取してしまうと、いきなり泥酔や昏睡状態へ入ってしまうこともあります。お酒を飲み始めてからしばらくは、ゆっくりとしたペースで飲むような習慣をつけておきましょう。 

(4)アルコールの吸収を抑えるものを一緒に食べる

タンパク質や脂肪分は、胃の中でアルコールの吸収を抑えてくれます。おつまみにして少しずつ食べながらお酒を飲むと、血中のアルコール濃度の上昇を穏やかにしてくれます。

乳製品などを飲む前に胃に入れておくと膜を作ってアルコールの吸収を抑える、とする説もありますが、胃は消化器官なので、せっかくできた膜もすぐに消化されてしまいますから、事前に食べておくよりは、一緒に食べるほうがずっと効果的です。 

(5)イッキ飲みはしない、させない

自分のアルコール分解能力を無視して短時間に大量のアルコールを一気に体内へ入れることは、ほとんど自殺行為です。絶対にしてはいけません。また、他人に強要することも絶対にしてはいけません。 

(6)チェイサーを頼む

「ストレート、ノーチェイサー」。映画のワンシーンでこんな頼み方をする男性を見て、かっこいいな、なんて思った方も多いでしょう。

でも、チェイサーは、お酒が体に入りすぎることを防ぐとともに、いったん口の中をすすぐことで、次に口に含むお酒の味を新しく楽しむ、というお酒好きならではの楽しみかたなのです。通の飲み方といってもいいくらいですから、遠慮せずにどんどん頼みましょう。本来は飲みものなら何でもいいのですが、体のためのチェイサーはお水が一番です。 

(7)自分のペースを守る

お酒の席では「もっともっと」と勧められることが多いかもしれません。ですが、そこは相手のペースに乗らず、自分のペースで上手に飲むようにしましょう。適当におつまみを食べたり、お水を飲んだり、ときにはトイレに立つなど、自分の状態を把握できる時間をこまめに作っておきます。






 今回のまとめ

1)急性アルコール中毒の5つの症状と血液中のアルコール濃度

2)性アルコール中毒の5つの対処法

3)急性アルコール中毒の治療法

4)急性アルコール中毒を予防するための7つの方法