急性アルコール中毒 処置法楽しくってついつい飲み過ぎて、「意識を失って救急車で運ばれたり、最悪な場合「死」に至ることもある「急性アルコール中毒」になってしまった場合はどのように対処したら良いのでしょか?知っていると安心の「急性アルコール中毒の処置法」を紹介します。






あなたは大丈夫!?急性アルコール中毒の4つの処置法

1)急性アルコール中毒とは?

(1) アルコールによる意識障害

「急性アルコール中毒」とは一般には、短時間に大量のアルコールを摂取することで体内の血中アルコール濃度が急激に上がることで運動機能に障害が出たり、一時的に意識障害を起こしたりすることを指します。多くは嘔吐・脱水症状・歩行困難・血圧低下・低体温症・呼吸数低下などの症状を引き起こします。

どこからが急性アルコール中毒なのか?」という線引きはなかなか難しいのですが、「泥酔」状態では血圧が急激に下がったり、呼吸困難を起こしたり、嘔吐物による窒息などで死に至ることもあります。また意識が朦朧としていたり、足元がふらついてしまうことで事故やトラブルに巻き込まれてしまうことも多いようです。

(2) 酔いの目安

血中アルコール濃度で「酔い」を4段階に分類することができます。

 「ほろ酔い」・・・血中アルコール濃度が0.05~0.1%程度。気分が良い、リラックスした状態。

 「銘酊」・・・血中アルコール濃度が0.1~0.2%程度。「舌のもつれ」・「ふらつき」・「呼吸が早くなる」・「吐き気」などの症状を感じるようになります。感情にも異変が現れます。

 「泥酔」・・・血中アルコール濃度が0.2~0.3%以上。意識がもうろうとなり、1人で立っていられない状態。

 「昏睡」・・・血中アルコール濃度が0.3~0.4以上。命に危険が及ぶ「昏睡状態」。叩いたりつねったりしても意識がない状態になります。

血中アルコール濃度のピークは飲酒後30~60分後といわれています。一気飲みなどを立て続けにしてしまうと、危険な量のアルコールを自覚がないまま摂取してしまうため「ほろ酔い~酩酊」を飛ばして一気に「泥酔~昏睡」に至る場合もあるので注意が必要です。

(3) 急性アルコール中毒が起こりやすい時期

1年で最も急性アルコール中毒によって救急搬送される人が多いのはいつなのでしょうか?

*急性アルコール中毒による救急搬送が多い月*

1位・・・クリスマスや忘年会などのイベントが多い「12月」
2位・・・開放的な気分になる「7、8月」
3位・・・花見や歓・送迎会などが多い「3月」

また年代別では「20代の男女」が多く全体の43%を占めています。これらの原因として考えられるのは「アルコールに対する耐性が低い」、「自分の適量が分からない」です。アルコールに慣れていないために少量の飲酒でも急性アルコール中毒になってしまったり、限界が分からずに飲み過ぎてしまい救急搬送されるほどの重症化してしまうケースが多いようです。しかし、急性アルコール中毒による死亡者は35~60歳と幅広い年代に多いことが分かっており若者だけに多い症状ではないようです。

飲酒による事故やトラブルは「本人だけの責任」ではありません。飲酒をあおったり、飲み過ぎて動けなくなった人を放置した結果の事故であれば、その場で一緒に飲んでいた人にも「刑事責任」が課せられる場合もあります。万が一、飲酒した相手が死亡した場合3年以上の懲役が科せられます。自分自身が急性アルコール中毒に「ならない」、他人を急性アルコール中毒に「させない」ためにも無理な飲酒の強要は止めましょう。

(4) 急性アルコール中毒になるのはなぜ?

アルコールは体内で「アセドアルデヒド」に変わります。アセドアルデヒドは毒性があり「悪酔い」や「二日酔い」の原因となり中毒症状を引き起こします。アセトアルデヒドは肝細胞中にある「アルデヒド脱水素酵素(ALDH)」によって身体にとって害のない「酢酸」になり、最終的に「水」と「二酸化炭素」に分解されます。

ALDHにはアセトアルデヒドの濃度が上がらないと働かない「ALDH1」とアセトアルデヒドの濃度が低い時に働くALDH2があります。ALDH2の働きが弱いとアセトアルデヒドを分解できず、少量でも悪酔いしてしまいます。このALDH2は3タイプに分類されます。

1.活性型・・・アセトアルデヒドの分解を速くできる。お酒に強いタイプ。
2.低活性型・・・代謝が遅い。お酒に弱い。日本人の37~38%はこのタイプ。
3.非活性型・・・分解が全くできない。お酒を受け付けない。日本人の6~7%はこのタイプ。

低活性型と非活性型を合わせると、「日本人の約半数は体質的にお酒に弱いか全く飲めない」タイプであるといえます。これらのタイプの人が、無理に飲酒をすると急性アルコール中毒をお子差リスクが高まります。もちろん活性型の人もお酒に強いとはいえ、一気飲みをしたり飲み過ぎれば急性アルコール中毒になる危険性があります。自分の身体と相談しながら飲み過ぎないように注意しましょう。

2)急性アルコール中毒の症状

(1) 頭痛・吐き気・動悸など

血液中に有害物質である「アセトアルデヒド」が増えることで「フラッシング反応」が起こります。主な症状は激しい頭痛・嘔吐などがあります。この時点で意識がしっかりしていれば飲酒を止め水分を十分に補給しましょう。

(2) 悪寒や震えなどの体温低下

飲み始めの「ほろ酔い」の時は血行が良くなり、体温が一時的に上昇します。しかし飲酒を続けていくと血中アルコール濃度が上昇し末梢神経の動きが鈍り、体温調整が上手にできなくなり「悪寒や震え」を感じるようになります。さらに飲酒を続けると、血圧が下がり「低体温症」を引き起こす危険性があります。

(3) 呂律が回らない・歩行困難などの運動失調

「泥酔」に至ると運動機能に障害が現れます。呂律が回らず何を言っているか分からなくなったり、ふらついて一人で立っていられない・歩けない、などの状態になります。この状態で多いのが転落や交通事故に合ったり、喧嘩などのトラブルに巻き込まれてしまうことです。また泥酔状態になるとケガをしても本人が気が付かない場合も多くケガの発見が遅れ死に至るケースもあるので1人にすることは絶対に避けましょう。

(4) 意識障害・痙攣などの昏睡状態

「泥酔」状態から急変し、以下のような症状が現れた場合は「昏睡状態」になっています。すぐに救急車を呼びましょう。

・身体が冷たい
・呼んでも反応がない
・大きないびきをかいている
・痙攣している
・失禁している
・泡を吐いている

(5) 呼吸数の低下

「正常な時の呼吸数は15~20回/分」といわれていますが、血中アルコール濃度が高くなることで脳が麻痺してしまい、呼吸などの生命維持にかかわる中枢部分が正常に機能しなくなり、呼吸機能や心臓の働きが停止することがあります。「呼吸が1分間に7回以下になっていたらかなり危険な状態」であるといえます。急いで救急車を呼びましょう。呼吸や脈がない場合は仰向けに寝かせ人工呼吸や心臓マッサージを行います。

3)アルコール中毒の人に対する処置法

(1) 1人で放置しない

酔ってふらついていたり、会話がうまくできなくなったとしてもアルコールが分解されていけば、徐々に改善してくることが多いので水分をしっかり摂ってしばらく様子をみましょう。しかし、危険なのは「寝てしまったから」、「どこかに行ってしまったから」とそのまま1人で放置してしまうことです。

知らない間に症状が悪化してしまったり、事故やトラブルに合ったりする危険があるので「絶対に1人にしないで誰が付き添うよう」にしましょう。その際、身体を揺さぶらないで耳元で呼びかけたり、叩いたりして意識を確認します。万が一意識がなければすぐに救急車を呼びます。

(2) 服を緩め楽な状態にして身体を温める

服を緩めて呼吸を楽にします。また低体温症を防ぐため上着やあれば毛布などを掛けて身体を温めてあげましょう。意識があれば少しずつぬるま湯などを飲ませます。

(3) 窒息予防に横向きに寝かせる

あおむけの状態で寝かせていると嘔吐物が喉に詰まって窒息してしまうことがあります。必ず横向きに寝かせましょう。その際、頭を少し反らせ気道を確保することがポイントです。またずっと同じ向き寝ていると血行障害が起きるので、30分ごとに身体の向きを変えてあげるとよいでしょう。もし嘔吐した場合は、急に起こしたりせずにそのまま横向きで寝かせて吐かせます。

(4) 救急車を呼ぶ

意識障害が起きたり、体温低下が起きたら救急車を呼びましょう。「救急車なんて大袈裟なんじゃ・・・?」なんて躊躇している間に手遅れになってしまうかもしれません。急性アルコール中毒は「死」に至ることもある危険な状態です。もし判断に迷う場合は、医師や看護師が相談に乗ってくれる「救急相談センター」に電話して指示を仰いでみましょう。

楽しいはずのお酒の場が一転してしまう、危険な「急性アルコール中毒」。無理な飲酒や一気飲みは止めて、ゆっくりと食事を食べながらアルコールを楽しみましょう。また体質的にアルコールを受け付けない人は「飲めない!」としっかり断ることが重要です。もちろん「飲めない」と言っている人へのお酒の強要はいけません。一気飲みの強要も同じです。

普段お酒に強い人でも体調が悪かったり、空腹時に急激な飲酒をすれば急性アルコール中毒になるリスクが高まります。自分の身体と相談しながら、個人個人が自制心を忘れずに安全で楽しいお酒にしたいですね!

4)まとめ

・急性アルコール中毒とは急激なアルコール摂取により、運動機能に障害が出たり、一時的に意識障害がおこる状態。呼吸数の低下、低体温症、意識障害、昏睡状態など危険な状態になる。

・クリスマスや忘年会、花見、夏休みなどのイベントが多い時期の急性アルコール中毒による救急搬送者が多くなる。

・20代前半のお酒に慣れていない人がなりやすいが死亡者の年代は35~60代と幅広い。

・飲酒、一気飲みの強要はしない。刑事責任が課せられる場合もある。

・日本人の約半分はお酒に弱い体質である。

・急性アルコール中毒の症状が出たらすぐに飲酒を止め様子を見る。

・症状の出ている人を1人で放置しない。

・意識障害や低体温症が現れたら迷わず救急車を呼ぶ。






今回のまとめ

1)  急性アルコール中毒とは?

2)  急性アルコール中毒の症状

3)  アルコール中毒の人に対する処置法

4)  まとめ