妊婦 アルコール妊娠したら「アルコールは胎児の成長に良くないからやめるべき!」とよく聞きますが、本当に1滴もアルコールを飲んではいけないのでしょうか。そして、もし妊婦がアルコールを飲んでしまうと胎児にどのような影響が出るのでしょうか。知っているようで知らない、妊娠中のアルコールについて解説します。






あなたは大丈夫?妊婦とアルコールの3つの関係

1)妊娠中のアルコールは絶対NG?

(1)産婦人科医の中には「少量なら問題ない」という人も 

妊娠中のアルコール摂取については、日本だけでなく世界中で「控えるべき」だとされていますが、その理由は一体何なのでしょうか?妊娠が判明すると、多くの人は赤ちゃんへの影響を考え飲酒を控えるようになります。しかし中には、「お酒が大好きで妊娠したからと言って急にアルコールを絶つのはつらい!」という人だっているかもしれません。妊娠したら、絶対にアルコールを飲んではいけないのでしょうか?

 

日本の産婦人科医の中には、「少量のアルコールは場体に摂ってリラックス効果を与える」や「少量の飲酒では胎児に影響はない」という考え方の人もいるようです。今まで毎日、飲酒していた人が「急にアルコールを断つとストレス」になってしまうので、少量の飲酒であればOK!という意見もあるようです。しかし、「自己判断で飲酒してしまうと思わぬリスク」があるかもしれません!かならず「かかりつけの医師に相談」してからにしましょう。

 

(2)どのくらいの量なら悪影響が出ないの?

 

妊娠中のアルコールは「妊娠初期であれば1日グラス1~2杯」、「中期以降は1日1杯程度」であれば問題ないとされています。しかし妊娠したのに「毎日飲酒する」という人は少ないと思います。1週間に1回、気分転換にグラス1杯程度なら問題はないのではないでしょうか。

 

しかし飲酒による胎児への影響については「この量だから影響がない!」という明確なラインが解明されていない上、体質や代謝などの個人差も大きいためアルコールが胎児に与える影響にも個人差があるといわれています。また「高齢出産のほうがアルコールによる影響を受けた赤ちゃんが生まれやすい」という統計もあるため35歳以上で出産される場合は、特に注意が必要になります。

 

胎児への影響を気にしながら「少量だけ!」と飲酒するよりも、「妊娠&授乳期限定禁酒!」と割り切ったほうが胎児のリスクも無くなり、ママの無駄な心配もなくなるのではないでしょうか?

 

2)アルコールが胎児に与える影響は?

 

(1)奇形や発達障害などのリスクが高まる

 

妊娠中の飲酒を積極的に推奨する産婦人科医はいないと思います。その理由は、「母体に入ったアルコールは胎盤を通じて胎児に直接届いてしまう」からです。「胎盤は母体と胎児の間にあるフィルターの役割」をしていて、有害物が胎児に届かないように遮断してくれるのですが、アルコールは有害物と認識されずに胎盤を通過してしまいます。そのため、「ママが飲酒することで赤ちゃんも一緒にお酒を飲んでしまう」ことになります。

妊娠中の飲酒によって奇形や発達障害などを引き起こす先天性疾患である「胎児性アルコール症候群」になるリスクが高まります。

 

(2)「胎児性アルコール症候群」とは?

 

飲酒による「胎児性アルコール症候群」の症状として主に挙げられるものを紹介します。

 

①成長遅延・子宮内胎児発育遅延・出生時の低体重&低身長

②中枢障害・発育遅延・筋緊張低下・精神遅滞

③特異顔貌(*1)・小頭症・人中形成不全・薄い上唇、 など。

 

これらの症状がすべてそろわないことも多く、特異顔貌は特に見られないが「精神発達遅滞」や「行動異常」などの「中枢神経障害」がみられることが多いようです。また「出産後も入院したり、通院が必要になる未熟児や障害児」も多くみられます。

 

(*1)特異顔貌・・・平たい顔付・鼻が低く小さい・上唇と鼻の間隔せまい・あごが小さく噛み合わせが悪い・下あごだけ大きく発達・目が小さく瞳孔しか開かない、などの症状が特徴。

 

奇形が起こりうる飲酒の目安

 

ワイン・・・175ml

日本酒・・・グラス0.5杯

ビール・・・350ml

 

上記の量を「1日6杯で奇形」の確率が高まり、「8杯で胎児性アルコール症候群の発症率が3~5割上がる」そうです。ウオッカやテキーラ、ラム、などのアルコール度数の高いものを飲むのは問題外

ですが、これらを使ったカクテルなども甘くて飲みやすい割に意外にアルコール度数が高いので要注意です。

 

(3)少量の飲酒でもリスクは高まる?

 

日本は他の先進国に比べると、「妊娠中の飲酒による弊害の意識が低い」ようです。アルコールによる影響は個人差が大きく「食前酒に少量飲んだだけで影響が出た例もあります」。未だに「このラインなら大丈夫!」という安全基準値もはっきりしていないません。「大量に・長期間・アルコール度数高いものを空腹時に飲めばそれだけ胎児に与える影響も大きく」なりますが、「アルコール度数が低いものを・少量・一回だけ飲んでもリスクがないという訳ではありません。」

 

日本産婦人科医会の調査では、「何らかの障害を持って生まれた赤ちゃんの母親の多くは60~90mlのアルコールを時々飲んでいた」ことが分かっています。そのため平成16年6月から日本のビールに「妊娠中や授乳期の飲酒は胎児や乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります」と表記されるようになりました。

 

3)妊娠に気が付かずに飲酒してしまったら?

(1)妊娠超初期ならまず問題ない

妊娠中の飲酒は少量ならそんなに問題はないといわれていますが、中には妊娠しているのに気が付かずに飲酒してしまい後から妊娠が判明して慌てる人もいるようです。妊娠に気が付かずに飲酒してしまった場合に重要なのは「飲んだ量」になり、「妊娠から数週間は赤ちゃんにとって重要な器官(心臓などの内臓器官)や神経系の機能が形成される大切な時期」です。思いがけない妊娠であれば仕方がありませんが、妊娠の可能性が少しでもあるのであれば飲酒は控えておきましょう

 

厚生労働省では、「妊娠に気が付く前の飲酒でもその時期の胎児の発育に影響し、大量に飲酒すれば胎児性アルコール症候群や流産のリスクがある」としています。しかし妊娠超初期の飲酒は、「胎盤が形成されていないため胎児への影響はまずない」といわれています。そのため飲酒をしてしまったことを後悔して悩んでストレスを溜めるより、「これからはもう飲まない!」と前向きに気持ちを切り替えることが大切です。

 

*妊娠の期間は3段階*

 

(2)妊活中からアルコールを止めておく

 

普段から飲酒の習慣がある人は妊娠してから急に禁酒をするとストレスを感じたり、つらいくなったりするので、「妊娠を望んでいるのであれば妊活中からアルコールは控えておきましょう」。そうすれば「いざ妊娠」した時にもストレスを感じることなく過ごせます。また赤ちゃんへの悪影響など余計な心配ごとを減らせます。

 

(3)快適なマタニティライフを満喫するために

 

妊娠して飲酒は控えているけれど、「その雰囲気だけでも味わいたい!」という時には「ノンアルコール飲料」がおすすめです。最近はビール以外にもチューハイやカクテルなど種類も豊富で本物に近い味わいを楽しむことができます。ただし、「ノンアルコール飲料にも微量ながらアルコールが含まれている」のでたくさん飲み過ぎるとアルコールを摂取することになってしまうので注意が必要です。

 

またアルコールの代わりに「色々な添加物が含まれている」ものもあるので、購入する際はその成分にも注意を払うことが大切です!「カラメル色素や酸味料、香料、酸化防止剤」などの添加物をたくさん摂取してしまうと内臓に負担がかかって「むくみの原因」になります。妊活中から自分に合ったノンアルコール飲料を見つけておけば、妊娠~授乳期までのマタニティライフをより快適に満喫できることでしょう。

 

「妊娠中の飲酒は少量ならば問題がない」という意見もありますが、その安全基準値ははっきりしていません。万が一、「少量だからいいや!」と軽い気持ちで飲酒したことによって生まれてきた赤ちゃんにアルコールの影響が出てしまってたら一生後悔してしまいますよね。そんな後悔をするのであれば「期間限定」と割り切って禁酒をした方が良いのではないでしょうか?生まれてくる大切な命を守ってあげれるのはママだけですから。

 






回のまとめ

 

1)産婦人科医の中には「少量なら問題ない」という人も

2)どのくらいの量なら悪影響が出ないの?

3)奇形や発達障害などのリスクが高まる

4)「胎児性アルコール症候群」とは?

5)奇形が起こりうる飲酒の目安

6)少量の飲酒でもリスクは高まる?

7)妊娠超初期ならまず問題ない

妊活中からアルコールを止めておく

快適なマタニティライフを満喫するために