妊娠初期 アルコール妊娠時にお酒はいけないということは、誰もが知っていることです。では何故いけないのか、どのような影響があって、赤ちゃんにどのようなことが起こってしまうのか。今回は妊娠初期とアルコーについてご紹介します。






妊娠初期のアルコールはいつまで大丈夫? 飲む時の注意点

1)お酒を飲むことが赤ちゃんに影響を与える仕組み

おなかに赤ちゃんがいる状態でお酒を飲む=赤ちゃんも酔っぱらう。まずはこれだけを頭に入れてください。当然ですが赤ちゃんはお酒を飲んだこともありません。お母さんの血管から絆となっている「胎盤」を通じてお酒(アルコール分)が赤ちゃんの体内に入ります。その小さな体でお母さんと同じ量のアルコールが体に入るわけです
もうそれは泥酔状態。

2)胎児性アルコール症候群

ちょっと恐ろしい言葉が続きます。お母さんが飲んだお酒の影響でおなかの赤ちゃんは「胎児性アルコール症候群」という疾患になる恐れがあります。

もう一度言います。お母さんが飲んだお酒が原因の先天性(生まれつき)疾患です。

そのおもな症状は

・特異顔貌…小頭症、人中形成不全、薄い上唇、短い眼瞼裂

・成長障害…子宮内胎児発育遅延、出生時の低体重・低身長

・中枢神経障害…発育遅延、多動症、精神発達遅滞、行動異常 などがあります。

もちろん、これらの疾患が全部同時に発症するわけではありませんが、中枢神経障害が多くみられるようです。

3)妊娠初期の飲酒がヤバいわけ

特定非営利活動法人アスク(ASK:アルコール薬物問題全国市民協会)が発表しているデータで、妊娠初期は「赤ちゃんの器官形成期」にあたっていて、この時期に人間として大事な体の器官ができていく、とても大事な時期ということです。脳は妊娠全期間にわたって成長を続け、ことに妊娠後期には一生のうちもっとも盛んに発達します。また妊娠初期だけでなく中期・後期のアルコールは、中枢神経障害や胎児発育遅延が生じる原因となります。

4)お酒の量が少なければ大丈夫?

日本産婦人科医会・先天異常委員会委員の佐合先生は学会で「飲酒の量と胎児への影響」について以下のように発表されています。

「近年、生活習慣の欧米化に伴い、飲酒や喫煙習慣をもつ女性が増加している。特に若い女性に増えており、妊娠中の飲酒や喫煙により胎児がアルコールやタバコに被爆される機会が増えている。アルコールやタバコが胎児に悪い影響を及ぼすことは明らかであり、治療法はないが、禁酒や禁煙により予防可能である。アルコールとタバコの胎児被爆の影響について解説し、妊娠中の禁酒、禁煙の重要性を強調したい」。

一概に「これくらいの量なら大丈夫」という基準は明確になってはいないのですが、目安として一般に言われているアルコール量をお知らせします。

・アルコール量15ミリリットルのお酒の量

ワイン=グラス1杯 / 日本酒=コップ1/2杯 / ビール=350ml缶1本

・妊娠中の1日のアルコール摂取量と胎児への影響

15ミリリットル未満 ⇒ 胎児への影響は少ない

90ミリリットル以上 ⇒ 奇形の発生が明らかに高くなる

120ミリリットル以上 ⇒胎児性アルコール症候群の発生率が30~50パーセント

5)心配のし過ぎは赤ちゃんに悪影響

「あのお酒のせいで元気な赤ちゃんができなかったらどうしよう」と思い悩むことは無意味です。そんなストレスが逆に赤ちゃんに悪影響を与えてしまうものです。「後悔先に立たず」と言います。過ぎたことを悔やんでみても、今も赤ちゃんは世界で唯一のゆりかごの中ですくすくと育ってくれています。

赤ちゃんは今まさに「人間」になろうとしています。人間の生命力を信じて明日を考えましょう。今日から気を付ければ良いのです。

赤ちゃんが人間になっていく、その様は「生命の奇跡」です。お母さんは一大事業を成し遂げようとしています。そこにはアルコールだけでなく、喫煙や薬など体に入れてはいけないものがたくさんあります。お医者様は赤ちゃんが世に出てくるまで、また世に出てからも、元気に育っていくために大変な勉強を続けてお母さんの味方になってくれています。

お医者様との二人三脚をしっかり保ってください。あまり女性を脅かしてもいけませんから、一つだけ安心材料をお届けしましょう。「妊娠超初期」と言われる妊娠4週未満のころはまだ胎盤が出来る前ですし、赤ちゃんの器官形成も始まっていません。胎盤を通じた血液によってアルコールが赤ちゃんに運ばれていくことはこの時期にはないと思っていただいても影響はないでしょう。

妊娠4週前というとまだ、お母さんが新しい命が宿ったことを知らずにいるころだと思います。「あの時のお酒、大丈夫かな」と思い出す必要はありません。赤ちゃんの元気な産声を聞くまで、赤ちゃん中心の生活を送ってください。






今回のまとめ

1)お酒を飲むことが赤ちゃんに影響を与える仕組み

2)胎児性アルコール症候群

3)妊娠初期の飲酒がヤバいわけ

4)お酒の量が少なければ大丈夫?

5)心配のし過ぎは赤ちゃんに悪影響