妊娠超初期 飲酒ある日、体の調子の変化に気づき、検査を受けてみたら妊娠していることがわかりました。待望の赤ちゃんです。しかし思い返すと数週間前に友達と食事に行って、お酒を飲んだ記憶がよみがえります。初めての赤ちゃんで不安でいっぱいです。大丈夫でしょうか?






意外と知らなかった!妊娠超初期と飲酒の2つの関係

1) 妊娠とは?

妊娠は卵巣から卵子が排卵し、卵管で精子と出会い受精して受精卵になります。子宮に移動して着床するとここから妊娠がスタートします。 妊娠するとお母さんのお腹の中に胎児が誕生し、40週かけてすくすくと育ち産まれてきます。

2) 妊娠超初期とは?

妊娠がスタートした0~4週目の期間を「妊娠超初期」といいます。この超初期は妊娠による自覚症状も起こらない期間で、検査薬にも反応をしません。 この期間は、まだ妊娠していることに気付かずに暮らしている人がほとんどです

3) 妊娠中の飲酒が胎児に与える影響は?

妊娠中のお母さんがアルコールを摂取することで、お腹の中の赤ちゃんには様々な影響を与えます。しかもその影響は全て悪影響ばかりで、良い影響は1つもありません。与える影響は次の通りです。

(1) 流産・死産

妊娠中の流産の7割以上の原因が先天性異常だと言われています。先天性の異常は妊婦が高齢の場合に起こるものと考えられますが、20代の若いお母さんの場合でも起こります。その原因に喫煙やアルコール摂取があります。 お腹の中の赤ちゃんは、出産時には3キログラム程度の大きさまで育っていますが、それまでの間はものすごく小さいのです。お腹の中にいる間は胎盤をとおしてお母さんから栄養をもらいます

お母さんが食べたもの・飲んだものが血液から胎盤を経由して赤ちゃんの体に入ります。 アルコールもお母さんが摂取したら、赤ちゃんに届けられます。まだアルコールに免疫が全くない体の中に、定期的にアルコールが供給されると成長の妨げになります。

お腹の中の赤ちゃんに届いてしまったアルコールを分解するには、成人の2倍以上の時間がかかります。 分解過程でやっと作られた細胞を破壊し、先天性の異常になり流産することや、生きていく力が無くなり死産につながります。

(2) 成長障害・中枢神経障害・頭蓋顔面奇形・心奇形・関節異常

これらの障害を「胎児性アルコール症候群」といいます。 妊娠初期の飲酒は、胎児性アルコール症候群を引き起こすことがわかっています。胎盤をとおして赤ちゃんに運ばれたアルコールにより、細胞が破壊されてこのような障害が起こります。

流産・死産を免れたとしても生まれてきた赤ちゃんの体が正常に発達しなかったり、小頭症などの大きな障害や、脳細胞の破壊により精神発達障害などが起こります。 胎児性アルコール症候群には治療の手立てはありません。 妊娠中のお母さんが摂取したお酒が赤ちゃんの障害の直接的な原因になります。これは授乳中のアルコール摂取でも、同じことです。

4) 妊娠超初期と飲酒の2つの関係とは?

妊娠超初期はまだ妊娠していることに気付かないで、いつも通りの生活を送っている人がほとんどです。もともとお酒を飲む習慣がある人なら、この4週までのあいだに飲み会に参加したり晩酌を習慣にしていても不思議はありません。 前にも書きましたが、妊婦がアルコールを摂取すると、お腹の中の赤ちゃんには障害などの大きな悪影響を与えます。

しかしこの「妊娠超初期」の段階であれば過度に心配をする必要が無いという考えがあるのです。その理由は以下の2つにあります。

(1) 妊娠週数の数え方

子宮に移動した受精卵が着床した時が、「妊娠スタート」だと前に書きました。妊娠の定義としてはこれが正しいのです。しかし妊娠集週とは「妊娠をしている週数」ではないのです。したがって妊娠0週0日は最終月経の初日なので定義から言うと「まだ妊娠していない状態」なのです。

この妊娠週数の定義はWHOが定めています。つまり、妊娠超初期4週のうちの最初の2週間はまだ妊娠していない状態で摂取したアルコールが直接お腹の赤ちゃんに影響を与えることはありません。

(2) 胎盤の形成

妊娠超初期のうち、後半の2週間はすでに受精卵が着床した妊娠している状態です。ここからはお腹の中で赤ちゃんが成長し始めます。お腹の赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから栄養を与えてもらいます。お母さんが飲んだアルコールも、胎盤から赤ちゃんに供給されます。

しかしこの胎盤の形成が始まるのが妊娠5週目からです。胎盤完成は16週目ごろになります。胎盤から栄養が供給される前の赤ちゃんは、「卵黄嚢」というもともと持っていた栄養袋から栄養を供給します。 妊娠超初期の赤ちゃんは、お母さんから栄養を供給されているのではなくて自分で補っているのです。

この2つの関係により、妊娠超初期の段階ではお母さんが飲んだお酒が直接お腹の中の赤ちゃんに影響を与える可能性は低いことがわかります。 妊娠が発覚する4週目後半から6週目頃は流産しやすい、注意が必要な時期です。正常な妊娠過程を妨げる要因にストレスも入ります。妊娠超初期に飲酒をしたことを過度に心配して、ストレスを増やして生活をすることは良くありません。この2つの事を理解して、安心して妊娠生活を送りましょう。






今回のまとめ

1) 妊娠とは?

2) 妊娠超初期とは?

3) 妊娠中の飲酒が胎児に与える影響は?

4) 妊娠超初期と飲酒の2つの関係とは?