お酒 眠くなる年末年始に始まり、友だちとのパーティーや会社の歓送迎会などお酒を飲む機会は意外に多いもの。でも、お酒があまり得意でない人は、飲むとすぐに眠くなることがありませんか。何故お酒を飲むと眠くなってしまうのか、ここではその原因をまとめてみました。






意外と知らない真実!お酒を飲むと眠くなる3つの理由

1)眠気を感じる2つのメカニズム

(1)恒常性の維持

命を維持していくために、体の状態を一定に保とうとするはたらきを恒常性維持機能といいます。疲れたり、異常を感じたりした時には、体の活動を低下させることによって眠りを誘い、睡眠を取ることで脳や体を休ませて回復させ、体の活動を維持します。

(2)生体性の維持

生き物は定期的に休まなければ生きていけません。疲れや異常などには関係なく、一定の時間が経過すると自然に眠り、体を休ませるはたらきのことを生体性の維持機能といいます。

2)人は何故眠くなる?3つの理由

(1)血糖値の変化による眠気

脳が活動をするのに不可欠な栄養素がブドウ糖です。ブドウ糖が足りなくなれば、脳の活動は低下して眠くなります。食事の後などは急激に血糖値が上がり、そして下がります。このとき、体はその血糖値の急降下を“低血糖状態”ととらえてしまいます。そこで、脳にブドウ糖が足りない、という信号が送られて眠気を感じるのです。

(2)血液循環の低下による眠気

脳が活動するためには大量の血液が運ぶ酸素が必要となります。何らかの理由で脳へ送られる血液が少なくなると、脳は活動を低下させ、眠気を感じるようになります。食事をした後は、食べたものを消化するために血液が消化器官へ集中します。そのため、脳へ送られる血液が減り、眠気を感じるのです。

(3)体温の低下による眠気

体温と眠気には深い関係があります。人の体は栄養素を消化してブドウ糖にし、それを燃やしてエネルギーにすることで活動しているのですが、燃やしたままでは体を休めることはできません。ですから、眠る前には、体が体内の熱を血液に乗せて手や足などの末端軒可燃へ運び、放熱することで熱を下げようとします。ですから、眠る前には手足が暖かくなるのです。

中でも人間の脳は高度に発達し、たえず活発にはたらいていますから、しっかり休めなければなりません。体の熱が充分に下がり、脳が活動を低下させ、休める準備が整うと、人は眠りに入っていきます。 

(4)体内ホルモンであるメラトニンによる維持機能の眠気

私たちの体には、メラトニンというホルモンがあります。これは、眠気を誘うホルモンで、朝の光を浴びて、体内時計がリセットされると分泌が止まります。それから14〜16時間が経つと再び体内で分泌されはじめ、それと同時に体温が低下し、体が眠る準備を始めます。そして体や脳が休息できる状態に整えられ、眠りに入ります。

3)お酒を飲むと眠くなるのは何故?3つの原因

(1)脳の麻痺

お酒を飲むと、アルコールは体内で分解され始めます。ですが、全てを分解することは出来ず、一部のアルコールが血液中に入り込み、全身を巡ります。この血中のアルコールが脳へ届き、脳の機能を麻痺させることで、脳の活動が低下し、眠気を引き起こします。 

(2)血糖値の低下

お酒を飲むと、アルコールを分解するために肝臓がはたらき始めますが、肝臓にはその他に「栄養素である糖分を全身に分配する」という役割も持っています。肝臓がアルコールを分解することに集中してしまうと、糖を充分に送ることができなくなり、そのため体が低血糖状態を引き起こし、それが眠気を誘うのです。 

(3)体温の低下

アルコールが体内に入り、血液中の濃度が上がると、毛細血管を収縮させるようになります。すると、血行が悪くなり、手足などの毛細血管の走る先端部から徐々に体温が下がり始めます人は体温を下げることによって眠気を感じ、眠るようにできていますから、アルコールによって体温が下がると眠気を感じるのです。 

4)お酒を飲んで眠くなるのは、体が教えてくれるSOSのサイン

もともとアルコールには眠気を誘う作用はありません。それなのに眠くなってしまうのは、本来なら正常な体のはたらきによって引き起こされるはずの眠気がアルコールによって異常な形で引き起こされているというサインです。ですから、お酒を飲んでいて眠気を感じたら、それ以上飲むことはやめましょう。 

5)寝る前にお酒を飲むとよく眠れる?寝酒をしてはいけない4つの理由

お酒を飲んで眠くなるのなら、あまり眠れないときにはお酒を飲めばよく眠れるかもしれませんねですが、これは絶対にしてはいけないことなのです。 

(1)眠っていても眠っていない?

体内に入ったアルコールは、肝臓で分解されます。ですが、分解の速度はそれほど早くなく、体が眠ってしまっても、肝臓はアルコールを分解するためにフル稼働しています。ですから、結局は体をしっかり休めることができず、睡眠の質を落としてしまうことになります。 

(2)トイレが近くなる

お酒はアルコールと水分です。肝臓がアルコールを分解している間、腎臓もフル稼働ではたらいて体内に入った余分な水分を体外に排出しようとします。その結果、夜中に何度もトイレに起きることになり、連続した良い睡眠が取れなくなってしまいます。 

(3)交感神経が休まらない

人間の体には自律神経があり、交感神経と副交感神経が交互にはたらくことで正常な体のはたらきを維持しています。交感神経は起きて活動しているときに、副交感神経は睡眠をとり、体を休めているときにはたらきます。お酒を飲んでアルコールが分解されると、アルデヒドという有害物質に変わります。これが交感神経を刺激し、体温や心拍数を上げてしまい、結果的に睡眠が浅くなり、ちょっとした物音などの刺激でも簡単に目が覚めるようになってしまいます。 

(4)習慣性ができてしまう

アルコールはむりやりに脳のはたらきを抑制します。ですが、脳が活発にはたらいていないと体の健康は維持できませんから、脳はできる限り抑制する力に対抗しようとします。その結果、徐々にアルコールに慣れてしまい、眠気を感じるようになるまでに必要なお酒の量が増えていきます。そして最終的にはお酒を飲んでもなかなか眠れないようになるのです。

そして、お酒が増えれば増えるほど、肝臓はフル活動し、トイレの回数は増え、交感神経は刺激されて眠りの質は落ちていき、睡眠不足に陥ってしまいます。 

6)お酒を飲んでも眠くならないための3つの方法

(1)お水を一緒に飲む

血液中のアルコール濃度を下げ、分解を助けるためにも、なるべくお水を一緒に飲むようにします。お水を一緒に飲むことで、お酒の量自体を減らすこともできますから、お酒があまり得意ではない人は、できる限りお水を一緒に飲むようにしましょう。 

(2)温かい飲み物や食べ物を一緒にとる

アルコールが体温を下げることで眠気を感じるようになりますので体のあたたまるような飲みものや食べ物をいっしょにとります。できるだけ体温を上げ、体のはたらきを活発にする手助けをしながら、お酒の量を調節してください。 

(3)空腹時は飲まない

空腹時は、胃に何かが入ると急激に血糖値が上がり、また下がります。この刺激が眠気を誘いますから、お酒を飲むときにはあらかじめ食事をするか、何か軽いものを入れておき、血糖値の上昇下降が穏やかになるような工夫をします。 

(4)ゆっくりと飲む

肝臓がアルコールを分解するのはそれほど早くはありません。肝臓で分解しきれないアルコールが血中に入り込み、全身に回ることで眠気を呼びますから、肝臓のはたらきを助けるためにも、できるだけゆっくりと飲むようにします。 






今回のまとめ

1)眠気を感じる2つのメカニズム

2)人は何故眠くなる?3つの理由

3)お酒を飲むと眠くなるのは何故?3つの原因

4)お酒を飲んで眠くなるのは、体が教えてくれるSOSのサイン

5)寝る前にお酒を飲むとよく眠れる?寝酒をしてはいけない4つの理由

6)お酒を飲んでも眠くならないための3つの方法